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一方、2人に取り残されてしまった紘もまた、何を話せばいいのかと、緊張で凍りついていた。


「紘くん、大丈夫? 顔色すごいけど…」


見上げれば、香澄が不安そうに見つめているのが目に入る。


「あ、ああ…悪い、心配かけて」


「ううん。最近いろいろなことがあったんだもん。考え込んじゃうことだって、あるよね」


私も分かるよ、と微笑んでくれた香澄。


やっぱり優しいな、もったいないくらいに。


…だからこそ、あのときの俺は間違ってないはずなのにな。


ゆっくりまぶたを閉じれば、すぐに浮かんでくる数日前の光景。










「──そう、だから私は紘くんに近付いたってわけ」


「……っ!」


テニス部の部室で、彼女は妖しい笑みを浮かべながら言い放った。