「それより、今から着替えるから見えない場所に…」 ブレザーのボタンを外しながら胸ポケットに向かって声をかけると、彼の姿はそこになかった。 「えっ、あれ…」 触ってみても、何の感触もない。 もしかして落ちてしまったのか、とあたりを探す。 すると。 「おー、広いなぁ!」 子供らしい声を発し、カーペットの上を走りまわる三枝くん。 なんだ、はしゃいでいただけか。 ほっと安心すると同時に、必死になって探していた私の気持ちを返してほしい思いでいっぱいだった。