「見て、あの子また1人でご飯食べてる」


「本当だ。友だちいないのかな?」


「いないんじゃなくて出来ないんだよ、きっと」


「確かに、それありえる」


あはは、と笑って、私の前を通り過ぎるクラスメート。


いないんじゃない。


出来ないのでもない。


私はただ、作らないだけなんだ。


そう、友だちなんていらない。


今日もまた、自分につまらない言い訳を聞かせている私。


本当は誰かと楽しく過ごしたいのに、笑い合いたいのに。


でもそんな愚痴のひとつさえ言える相手もいないのだから、はあ、と私はまたため息を吐くしかないのだ。


「鳴海、今日はひとりで飯食ってんのか」


近くで私の名前が聞こえる。


またですか。


今日『は』じゃなくて、今日『も』だって。


わざとらしい意地悪にうんざりしながらも、顔をあげて、その言葉の張本人を確認する。