ささやかな勉強会も終わり、電気を消してベッドに横になる。


長かった1日もようやく終わりだ。


疲れたなぁ、なんてぼんやりと考えていれば、ドールハウスの方から声がする。


「…なぁ、鳴海は大切な人っているのか?」


暗い空間の中で、独り言のようにつぶやく彼。


私に訊いている。


分かっているはずなのに、質問の答えが見つからないまま、ただ黙り込んでしまう。


「俺はいたよ」


小さく言葉にした三枝くんに、胸の奥がきゅっと詰まる。


いる、じゃなくて、いた。


自然と過去形になっていたことに、気付いてしまった私がいる。