しばらくみんな無言で歩き続ける。


ようやくお城の中に入り、複雑な道をぐんぐん歩いていく男の子。


今は、ふっかふかのセンターが赤色の絨毯の上を歩く。


そういえば、今どこに向かっているのだろう?



「…………ひすい、だいじょうぶですか?」


心配そうにこちら上目遣いに見てくるツィアンス。

…くそぅ、可愛すぎるだろこの生き物‼︎

さっきの疑問すらどーでもよくなってきた。


母性本能というのか、抱きしめたい衝動に駆られるが、如何せん肋骨が痛すぎてできない…。


「……う、うん、大丈夫だよ…」




いや、これはかなりやばいかも…


さっきよりも、お腹はズキズキするし、頭もクラクラして…


あれれ、視界がぐらんぐらんとして、全てがぐにゃりと曲がっていく。


やばい、体がふよふよ浮いている感覚がして、視界が回転する。


「っ、ひすい‼︎‼︎」



意識が飛ぶ前に見たのは、

泣きそうで歪んだ顔をしたツィアンスと、
少し驚きつつ、急いで手を伸ばしてくる男の子の姿だった。