「ん……」 目を覚ますと、そこは昨日と同じ寝室だった。 隣にはスヤスヤと寝息を立てる……そうだ、明彦……さん。 明彦さんが、まるで私の体を包み込む様な体勢で眠っている。 でも、不思議。全然嫌な気がしない。 むしろ……安心する。 無意識に、長い睫毛が揺れる彼の瞼をそっと撫でる。 彼は「んっ……」と短く息を吐いた後、ポツリと呟いた。 「ハル……どこにも……行かないで、……くれ……」 それは今まで聞いた声の中でもあまりに、悲しそうな声音で。