気付けば彼は、スーと寝息を立てていた。



閉じている瞳には、長い睫毛が揺れている。


彼の幸せそうな表情を見ていたら、なぜだか自然と笑みが零れてしまった。


「ふふっ」

その瞬間、私の声に反応して彼が慌てて起きる。


「あ、ごめん。寝てたみたいだ。俺、寝ぼけて君に何か、嫌なことしなかったか? 」

目をこすりながら、慌てふためく彼。

「うん、嫌なこといっぱいされました」

冗談でそう言ってみると、物凄い勢いで土下座する明彦さん。

「マジでっっ?! ごめん!! 何しでかしたか覚えてないけど、悪気は無いんだ! 本当ごめん! 」


まさか、ここまで謝られるとは……。


(本気で謝る彼を見ていたら、何だか悪い気分になってきちゃったな……)


「あ、いや、すみません、冗談です。本当は何もしていないですよ」

私がそう言うと、彼は目を点にして静止する。