(きっと、私のせいで疲れてるんだ……)



リビングにあるテーブル近くに立ったまま、そんな彼の様子を見ていると、「そんな顔してこっち見てないで、隣に来いよ」っと手招きしてきた。

「え、、、」

木村先生に、彼は信用できるといくら断言されても……。

そんな軽々しく、寝転んでいる男性の隣になんて行ける筈がない。

「何も襲ったりしない。ただ傍にいて欲しいんだ」

疑心暗鬼になりながらも、彼が寝転んでいる隣に腰を下ろす。


すると……彼がそっと、私と手を繋いできた。


「ちょっ、何もしないって言ったじゃな……」

すぐさま振り解こうとしたが、彼の表情を見て動きを止めた。


彼は、うつらうつらとしながら私の手を愛おしそうに握っていた。

「ごめん、少しだけ……落ち着くんだ、こうしてると……。ハルの手、冷たいから……体温高い俺には、ちょうどいい」

そう言いながら、ゴツゴツとした大きな両手で私の手を包み込む彼。

冷え切った指先から、別の温もりがじんわりと伝わってくる。

まるで心に太陽の光が射すような、ポカポカとした温もり。


心地よく、でも何だかくすぐったいような、そんな感覚。

……なぜだろう。


私はこの感覚を、以前にも感じたことのあるような気がする。