玄関からは、「おおっ! 愛しい我が娘よぉ〜」と喜びの声が。


「おかえりなさい、貴方」

夏美を抱き上げながら、アキが満面の笑みで頷く。


「ただいま、ハル」

そんなアキをポカポカと殴る夏美。


「ナツに、ただーいまはっ! 」

「おお、そうだったな。ただいま、夏美。愛してるぞー」

「うわぁ、いたい、やーっ! 」

幼い娘の肌に髭をジョリジョリと擦りつけては、毎回の如く嫌われるアキ。


嘗てはふたりぼっちだった家の中に、温かで幸せな笑い声が、響き渡る。