ー ……あれから数日後。



ハルの記憶は消えること無く、思い出が1つ、また1つと増えてきている。

仕事が休みの午後、俺はハルに提案する。

「なぁ、ハル。南京錠を外すのを、手伝ってくれないか? 」

もう必要ないだろうと判断した南京錠を外すことにした俺は、鍵のスペアをハルに手渡そうとする。

「外してしまって、良いんですか……? 」

不安げな表情を浮かべる彼女の頭を優しく撫でた。

「あぁ。もうこんな物がなくったって、今の俺はハルをこの家に繋ぎ止めることができる、自信があるからな。」



彼女は「ふふっ」と笑い、あらゆる南京錠を外す鍵のスペアを受け取る。