百花がおかしそうに笑いながらそう言ってきたので、あたしは肩の力を抜いた。


なんだ、そんなことか。


やっぱりこれは単なる嫌がらせで、アンミたちが何か気が付いているのではなさそうだ。


そうとわかると思わず笑みがこぼれそうになる。


あたしは頬の筋肉を引き締めて笑顔をぐっと押し込めた。


アンミたちにからかわれて傷ついているフリをする。


「あんたみたいな子とずっと一緒に暮らすなんて、あたしでも耐えられないよぉ?」


月乃が調子に乗ってそう言う。


「ってかさぁ、あんたが自殺すればよかったのに」


アンミが追い打ちをかけるようにそう言って、月乃と百花が「そうだよねぇ!」と、ハモる。


あたしは傷ついたフリをしながら席に座った。


しばらく言わせておけば飽きてやめるだろう。


それにあたしはもうとっくの前に自殺を考えてるんだよ、お前らのせいで。


心の中でそう毒づく。


「ねぇねぇ、あんたのお母さんって、キャバクラ嬢だったんでしょ? もしかしてヤリマン?」


「テレビで顔写真出てたけど、すっごいケバイババァだったよね! ウケル~」


「ってかあれって後妻でしょ? 本当のお母さんは死んじゃった?」