リョウちんの授業が終わって昼休みになる。



私はいつも自分の手作り弁当、
明麗紗もそうだ。

でも、凛香と香野葉は全くダメで
今購買にパンを買いに行っている。




「まいー!またそんだけ!」





明麗紗が怒った顔をして言ってくる。




いつも明麗紗はご飯が少ない!と言って私におかずを分けてくれる。



凛香も香野葉も購買で買ったパンを分けてくれる。




分けてくれても食べれないのに。




「これ以上は食べれないよ」




「まー「まーた、そんな事言って!




そんなんじゃたくさん遊べないぞ!」




「柚莉(ゆり)先輩!!」




星が飛んでいるように喋りかけてくるのは



橘(たちばな)柚莉先輩高校3年
FULLMOONの総長と仲がいいらしい。




ちなみに私たちは1年だ。




「あ!柚莉先輩だぁ〜!!」




「柚莉先輩!」




「来い!私の大切な子供達!」




柚莉先輩がそう言うとバッと腕を広げる。



その中に香野葉と凛香が飛び込む。




いつ帰って来たんだろ、



ギューと3人は抱き合う。



これは、いつもの光景だ。




柚莉先輩が来てたら絶対これをする。




「3人とも埃が立つからやめて」




明麗紗が冷静に突っ込む。



まぁ、確かに埃が立って大変だ。




「すいません」




そう言って3人とも机を引っ付けてごはんを食べ始める。



柚莉先輩以外は



柚莉先輩はここにくる前に
友達と食べてきているらしい。




「あ、柚莉先輩。



今日行くFULLMOONの事教えて下さいよ」




「確かに、何も知らないと怖いよね」





香野葉と凛香が呟く。





「あれ?教えてなかったっけ?」




「全く」





明麗紗がもう、諦めたと
言うようにため息を吐きながら言う。




「ごめんなさい!
だからそんな風に私を見ないで!」





「柚莉先輩こんな目で見られるの好きでしょ」




「なにその私がドMみたいな感じ!?」




「あーはいはい分かりましたから
FULLMOONのことどうぞ」




「うわぁーん!ねぇ!愛生ちゃん!
先輩がこんな扱いでいいと思う!?」





柚莉先輩が泣き真似をしながら私に抱きついてくる。



こんな会話も日常茶飯事だ。



家族がいたらこんな感じ何だろうか。




「えぇ、先輩なら」




私が素直に応えると
先輩は少しだけ落ち込んだ顔をした。




「ハハハッ!
先輩愛生に聞いたらそりゃそう応えるよ!」





「愛生は素直だからねぇ〜」




「そこが可愛いんだよ!」





凛香、明麗紗、香野葉の順に応える。




私は意味が分からなくて
首をかしげるしかなかった。




「うん、FULLMOONの話だったね」




「あ、強制的に忘れようとしてる」





「えっとねぇ、
FULLMOONは西日本のトップに君臨する
暴走族で、主な行動場所は
福岡の中央区とか、天神とか。



福岡は暴走族の争いが激しく
てここを取った暴走族はそりゃそりゃ有名だよ。




今は東日本と東京のことでにらみ合いが合ってるね。



FULLMOONのメンバーは25人」




「25!?」




「それで福岡、西日本No.1!?」




「そうよ、すごいでしょ」