「キッツ。愛生体力ありすぎじゃね?」



「ふふーん、そうですか?」



「あぁ、凄いよ」



「ふふ、ありがとうございます。」



ポケットに入れていた携帯が振動する。



「はい、もしもし。」



「もしもし。」



知らない声。



「だれ、」



「愛生か?」



「本当に誰。」



「父さんだ」



「え、」



「愛生。」



ピッと電話を切る。



「ん?どうした?」



先輩の声が聞こえるが頭に入ってこない。



ピリリリリ



っ、あ、携帯か、



電話を告げるコールがなる。



「もしもし」



「っ、あ、せん、ぱい」



「おう。」



楽しそうな先輩の声。



すぐそこに居るのに。



「本日、帰りたくないなら家にどうぞ
一泊三食付きで料金は笑顔。

どう?格安だろ?」



せん、ぱい



「はい、何泊か、お願いします。」



「ふ、承りました。」



先輩の声に、救われる。



大荒れだった心の中が沈んでいくのがわかる。