メジャースプーンをあげよう


「こちらでお待ちください」
「え、あの、私ポットを取りに来ただけで」
「担当の者が今外しておりまして、お待ちいただきたいと言付かっております」
「……はい」

 顎のラインできれいな内巻になった女性社員の案内で、再び15階に足を踏み入れた私は『C―2会議室』というプレートがかかった部屋へと通されていた。
 例の女性社員は綺麗に礼をして廊下へと出ていく。

(……なにこのコジャレた会議室は)

 残された私は、ひとまず窓際へ寄って室内を見渡した。
 椅子がパイプではない。カラーがあって、なんていうかポップな椅子だ。
 テーブルも味気ない灰色の長机ではない。

「さっすが、大手の広告代理店って感じ」
「お褒めいただきありがとうございます」
「ギャッ!?」

 急に挟まれた声に変な声が出た。