夕食に出来るようなメニューはこの店にはない。
でも、食後に来る人は多い。しかもこの時間は上に入っている会社の社員たちがよく寄っていくのもあって、それを狙った一般客も来る。
キッチンにいる今だって、お高そうなスーツに身を包んだ2人組の男性がレジに並んでいる後ろで女性客がキャイキャイ華やいでいるのが聞こえてくる。
つまり今、店内は繁忙時間。
よく働いてしかも出来るキッチンの上坂くんを、コーヒーポット回収になんて派遣できるはずもない。
派遣されるべきは、まだ新人の私。
「わかってるならいーよー」
「……行ってきます」
「はい、いってらっしゃーい。検討を祈る!」
わかってるんだかいないんだか、上坂くんは私に向かって親指を立てた。
そんな上坂くんを見て思う。
(……若いのに、やること古いな)

