学校に着いて、クラスを確認する。



「大翔!何組?」



「5組。莉乃は?」



「5組。また、一緒だねぇ、腐れ縁」



私と大翔は小学生の頃から、ずっーと同じクラス。全然離れる気配ないし。



あれ?5組って、芸能科……



「なんで、大翔が芸能科にいるの!?」



「あれ?言ってなかったっけ。俺、スカウトされたんだよ。それで、夢原高校進学するって言ったら、事務所の方が芸能科にしろって言うから」



大翔が芸能人!?確かにイケメンだし、おかしくないけど。



「ほら、行くぞ」



「ちょっと待ってよ~」



1年5組は芸能科。芸能人ばかり。私みたいな無名な女優とか、大翔みたいなスカウトされたての人、子役からやって来た女優とか、歌手とか、売れてない人から売れてる人までいる。



「席は、どこかな」



座席表を見ると、私は廊下側の一番後ろ。



大翔は窓側の一番前。



「い、一番遠いね。今まで、ずっと近かったのに」



「名簿だし、しかたねーだろ」



大翔の言うとおり。別に嫌じゃないし、いいか。



席に座ると、前の席の男の子が話しかけてくる。



「はじめまして。霧宮莉乃ちゃん」



「え?なんで、私の名前……」



「俺、君のファンだから。[学園地獄]で莉乃ちゃんのファンになったんだ」



「そ、そうなんだっ!!ありがとう。あ、あの、名前は?」



「ああ、名乗るの忘れてた。俺、加隈大輝(かくまだいき)。声優やってるんだ」



加隈大輝。知ってる。若手声優、私も好き。



「よろしくね、莉乃ちゃん」



「よろしく!大輝くん」