空港にある金属探知装置のようなゲートをそれぞれくぐった先には、このイベントのために用意されたかのような謎の簡易ステージが設けられており、ステージ後部には巨大スクリーン。
ステージ背後に延々と並べられている巨大な鉄カベの奥に恐らくこのイベントの舞台が果てしなく広がっている。その全貌は鉄カベがあろうと無かろうと計り知れるものでないのは確かだろう。
続々とゲートをくぐり謎のステージ前へ集う800人の参加者たち。
王宮騎士の権利取得を目指す血気盛んなアマチュアたちの圧に夏希は早くも脱落寸前の表情を浮かべる。
参加の意思がゼロだったのだ、無理もない。

「はーーい!皆さんどうも!進行アーンド運営代表のルオラっでーーーす!」

巨大スクリーンに突然映し出されたのはルオラと名乗るやたらとテンションの高い美人女性。
思わぬ展開と唐突な美人の登場についつい唸る男性参加者たち。

「いやー今年は800人だと聞いてますが、まぁ楽しみですね。では早速スタートまでの流れを説明しましょうか。至って簡単ですからねー。では一つ目__」

冒頭のテンションを殺し淡々としたルール説明が始まった。

「二人一組、もしくは三人一組でチームを組みスタートして頂きます。なお、チームはこちらで適当に組んでいきますのでご了承ください。
二つ目、スタート5秒前になったタイミングでみなさんの頭上から特殊な液体をかけていきます。それにより皆さん一人一人に何らかの能力が付与されます。
ざっとこんな感じ」

「よかった、チーム戦か」



「よんじゅう……マジかよ…」

48時間という長い制限時間に一同ザワつく。

「以上で終わります。質問はありますか?」

「能力についての詳しい説明はないのか?」

「そうですね、一応説明しましょうか。
まず自分に与えられた能力を把握する方法ですが、グループの方に目を見てもらってください、それなら一瞬です」

なかなか大雑把な説明にさらに質問を重ねる。

「目を見ると何が見えるんだ?」

「それはその時に同時に確かめてください」

面倒になったのか、それとも時間が押してるのか。ただ、早く早くと全員ががうずうずしているのが伝わってくる気がした。

「じゃあ追加で言っときますね、ポイント獲得の各条件に関しては公開しません。能力を付与される以上はもちろんプレイヤー同士で能力を駆使した戦闘もしていただくことになります。ということで毎年恒例「殺アリ殺ナシルーレット」を行いまーーす!」