「えーとね、この店はね。夢を提供してくれる場所と言ったじゃない」
「はい」
「それでね、ここに来るお客様は、全て私達の夢を叶えてくれる手助けしてくれるの。私の場合は、モデルの事務所に入りたいんだけど……やっぱり、大手の事務所に入りたいからね。中々入れないんだよな……」
髪を右耳にかけて、少し悲しい顔を浮かべながら彼女は私に言った。
「はあ」
「えーと、まあつまりね。私の場合は、事務所の人が来てくれて、私の写真を撮ってくるんだけど。それを社長に見せて、事務所に入れるけど……大手には一回にも引っ掛からないんだよね。子会社は、呼ばれるんだけどね。だから、あなたもこの場所でチャンスが掴めて、お金が貰えるのよ。一石二鳥でしょ」
「……でも、なんでお客様はこんな小さい古本屋なんかに来るんですか? しかも、こんな場所で」
腕を組み彼女は私をジッと見てきた。
「……それは、私が教えることじゃないね。陽和の行動を見れば分かるよ」
そう言って、古本を探している中年集団と昇哉の元へ一人ひとりに声をかけた。
私はゴミを取り終わり、近くにあったちりとりでゴミを取った。
それを終えて、私は古本の整理をし始めた。
それを見ていたくるみさんは大きい声で、こっちに来てという合図を右手でしていた。
早足で彼女の所へ行くと中年集団と昇哉が古本を買う所であった。
会計するために私は呼ばれたみたいだ。
「手伝って! やることは分かってると思うけど」
「はい」
私は急いで、本を会計し始めた。
それを見ていた早下さんが声をかけてきた。

