わかったのかわからないのか、いまいち感情の読み取れない声。 そんな彼に、少しだけほっとする自分がいる。 あたしはこんなにも、弱い人間だっただろうか。 「君、名前どうしようか」 ないと呼ぶのに困る。 すると少年は子猫みたいに心細そうな目をした。 「紫苑、俺の名前つけてよ」 「え、あたしが?」 「うん」 突然責任重大な任務を任されてちょっとびびる。 あたしネーミングセンスないんだけどなぁ。 「名前………。うーん、悩む」 「なんでもいいよ」 真剣に悩むあたしに少年はクスクス笑った。