「ちょっと残念だけど、梓のこと
諦めてね。」


何も言えない私に、絢乃さんは


「困らせるつもりじゃなかったんだけど、
ごめんね、とりあえず梓もう少しで戻って
来ると思うよ。またね、鈴菜ちゃん」


そう言うと、カバンの中にプリントをしまって歩いていった。



ペタン、と廊下に座り込む私



絢乃さんに、勝てる気がしない。



いつもみたいに、笑えない



「……は、高瀬?」


後から聞き覚えのある声がして、
出かけてた涙を拭き取る。



「あ、恭介先輩……っ、
もう、何してたんですか~?」


元気でいなきゃ、困らせちゃだめだ


「何座り込んでんだよ、中で待ってれば
良かったのに。あれ?今日1人?」


教室のドアを開けながら、恭介先輩は
私に尋ねてくる。


「あ~、美和ちゃん図書室行ってて
もう少しで来ると思います」


「なんだ、じゃあ梓と一緒くらいだな」


ガタッと椅子を出して座る恭介先輩


私もその隣にちょこんっと座る。