あっという間に閉会式も終わり、みんなが帰った後、片付けをしていた。
椅子を片付けて、運んでいると近藤が私の肩を叩いた。
「ん、これ俺が持ってくから
お前絆創膏でも貼っとけよ」
そう言って私から椅子を取ると近藤は1人で歩いていってしまう。
「……ありがとう」
そう言うと、私は水道まで歩いた。
靴と靴下を脱いで、足を水に付けようとしたら、後ろから声が聞こえた。
「……1位取れなかったじゃん」
声を聞くだけで、私は振り向かない。
「……っ、先輩……」
泣きそうになりながらも、消えそうな声で名前を呼ぶ。
「いきなり視界から消えたから、びっくりした」
あの時、嫌がらない先輩を見て私は足がガクッとなり転んでしまった。
それから、すぐに立ち上がれば一位になれたはずなのに…。
私のこの気持ちだけで、みんなから…、優勝を奪ってしまったんだ。
「……勘違いしてると思うから言うけどさ、あの時、俺に触れたのは俺にゴミがついてるからだからね。」
………え?
「どうせ、それで転んだんでしょ?
別にみんな責めたりしないよ。」


