「先輩、あんまり鈴奈のこと、からかわないでくれません? 馬鹿みたいに落ち込んだりするんで。」
美和ちゃんが恭介先輩の前に来てそう言うと、先輩は笑った。
「そうだったな~ じゃああとの競技頑張れよ」
そう言うと、手を振りながら歩いていってしまう先輩。
美和ちゃんはその後ろ姿を見てため息をついた。
「……はぁ、遊ばれてんね」
「うぅっ、やっぱり?」
そんな会話してから、私は前を向いた。
ダメだ。応援しなくちゃ…!
得点板に視線を移すと、わずかな差で青ブロックに負けていた。
「ほら…! あんた、出るんでしょ!」
これで得点が決まる徒競走。
「……行って、きます」
私はハチマキを結び直して、待機場所へと移動して行った。


