「せーんーぱーいっ!」

そう言って、先輩の背後から顔を出すと先輩は器用に看板の色塗りをしていた。


「……これ、先輩がやったんですか?」

私は綺麗に塗られた色を見ながら問いかけた。


「……そうだけど」


恥ずかしそうなその返事に、私は微笑んだ。



「すごく、綺麗です……」



いつもより、静かな声で呟くと、梓先輩は目を見開いて私を見てから鼻で笑った。




「え、ちょっと!なんで笑うんですか!?」

「別に……」


ムッとして、私は梓先輩に近寄ると顔を手で押される。


……そんな所も、好きです。