授業も終わり、夕飯を約束した梓くんと校門に向かって歩いていると、昨日と同じ光景が目に映る。

「なんだ?あの人だかり・・・、真ん中に人が1人いるみたいだけど・・・」

デジャヴを感じる・・・。

「そ、聡さん・・・。」

「真ん中のあの人が?」


梓くんにそう聞かれてコクリと頷く。
梓くんは立ちどまり決して近いとは言えない場所からじーっと見てから歩き出す。

そして、近づいたかな?と思う場所からは先生たちの声も聞こえてきた。

「あら、聡さん、今日もいらしたんですか?」

「はい、心配ですからね。」

にへらと笑う聡さん。
その顔にうっとりしたかと思えば矢継ぎ早に質問する先生たち

「あの、今度私と食事に・・・」

「いや、私と食事でも・・・」

「なにを言ってるの!?私と・・・」

と、聡さんを食事に誘おうとしているみたいだ。

そんな時梓くんが先生たちの近くで
「おいおい、厚化粧が寄ってたかって暑苦しいな。大人げねぇったらありゃしねぇよ」

あ、これもなんかデジャヴを感じる。

先生が、キッと梓くんを睨むと梓くんは「なにか?」と言い笑う。

先生たちは、顔を真っ赤にして「なにも!」と言ってから足早に立ち去っていった

「綾音ちゃん、おかえり」
と、ふわりと優しい笑顔で迎えてくれる聡さん。私はただいまです。と言う。
すると、聡さんは私の隣に目線を逸らす。
そこには梓くんが居る。

「綾音ちゃん、お友達?」

「あっはい!渦宮梓くん!今晩、夕ご飯を一緒にって言ったんです!」

「そうなんだ?」

梓くんは、少し素っ気なく、はい。と頷いた。
「じゃあ、行こうか」

と、聡さんが言い
私達は歩き出した