一瞬、無音
かと 思った 声
静まり返っているのに
彼女の口だけが
動いているから
そうかあまりにも透き通りすぎてしまったんだ
ガラスをつついた時みたいな高音
地響きみたいな低音
もはや振動もない
君の歌
拍手の渦が 僕を責めた
立ち上がれなかった
だって君はまだ 歌っているから
真空に馳せた夜の音
腐れたピアノフォルテ
広がる星空に
まるでそれを焼いてしまうかのように
焦げた君の表情が溶けた
わたしは
よるが
きらい
確かに、そう言っていた
不揃いな音譜に
月明かりのステージの下
淡い光に呑まれそうな
赤いドレスの 歌姫 ひとり


