彼女の事を意識しているのは確かで、でもそれは彼女の事をピアノの彼女と重ねてるからであって……彼女に好意を持っているという事ではない筈なのだ。
そう、絶対に有り得ない。
確かにあれから全く会わず、夏休みに入ってしまって気になってはいるが、絶対にそういうものではない。
『……ハァ。駄目だ全然集中出来ねぇ』
すると、ピンポーンと家のチャイムが鳴り、数秒後ドタドタと家に入ってくる様な足音が聞こえる。
何故だろうか、その音が段々と近づいてくる。今日は誰も来る予定はないはず……とそう思った矢先にドアがバァンと開かれ、冷房の効いていた部屋から冷気が廊下へと逃げていく。

