トクンと心臓が鳴る。


男の子と手を繋ぐなんて…。

人生初めてのことで緊張してしまう。


「…く、黒川くん。私たち…友達だから…こう言うことは…」



付き合ってもいないのに手を繋ぐなんて。



「やだ。絶対離さない」


黒川くんはいつもより子供っぽくそういった。




「好きな人が…他の男と少しの時間でも一緒にいたのかと思うとすげぇ嫌な気持ちすんのが普通なの」



「……っ」


そっか…私、黒川くんに告白されたんだっけ。



「ごめんなさい」


「…いや、別に姫野さんが謝ることじゃない。ただ…」



黒川くんは私の手を繋いだまま歩いていた足を止めた。



「…すげぇ嫌だった。姫野さんが音楽の名前呼ぶたびにムカついた」



────!!!!


黒川くんは、私の肩に自分のおでこを置いた。


道でこんな大胆な…。



「俺、自分が思っていた以上に姫野さんのこと好きみたい」



どうして…。


どうしてこんな世界の違う私を。



「…あ、ありがとう…ご…ざいます」


私はそう、お礼を言うことしかできなかった。