「自覚症状ないみたいだから言うけど…。姫野さんのこと狙ってる男はたくさんいる」


「へ?…ね、狙ってる?」


「姫野さんのこと、彼女にしたいと思ってる男がたくさんいるってこと」


!?!?


また、黒川くんはなんて冗談を言い出すんだ。


私みたいに友達いない根暗女子が…そんなわけ…。



「今、嘘だって思ったね」


「ひっ…」


またバレた。


黒川くんはエスパーなの?!



「ぼっち姫ってあだ名は…苗字と普段の姫野さんが単独行動ってのが理由って言うのもあるけど…可愛いくせに極度のコミュ障って言うのが一番でかいから」



「どう考えてもバカにされてるあだ名だよ…」



「普通は皮肉で言うだろうね。姫なんてあだ名。でも姫野さんの場合違う。わがままそうに見えるとかそんなんじゃない。単純に一人ぼっちの美少女だから」


まさか。


そんなあだ名がつけられているのなんてまだ信じられないのに…。


美少女なんてからかうにも程があるって…。




「だから…もう少し自覚を持った方がいいよ」



黒川くんはそう言って前を歩いた。