「あ、あのちょっと待っててください、すぐ戻ってくるので!」
女の子はそう言って、カバンを持つとスタスタと走って消えて行った。
なんなんだよ…。
別に彼女を待っているつもりなんてなかったが、まだ歩くのもだるくて俺はその場でジッとしていた。
だせぇ。
馬鹿みたいにあいつらがいうように粋がって喧嘩してこんな哀れな怪我して、挙げ句の果てに知らない女に手当てしてもらってるんだから。
「…何してんだろ…俺」
そう誰もいなくなった公園で静かに呟いて少しして。
スタスタとこちらへまっすぐ向かってくる女の子が見えた。
こんな夜に…。
危ねぇだろ。
そんなことを思いながらも、今の俺には彼女に何もしてあげられなくて。
「…えっと…これ、スポーツドリンクとお腹空いてるかなと思って…肉まんです。あ、食べられたら食べてくださいね。じゃあ…無理…しないように…」
おい…嘘だろ。
彼女は俺の横に肉まんの入ったコンビニの袋とスポーツドリンクを置くと俺に軽く会釈して、くるっと振り返ると、スタスタと公園を出て行った。
…なんでだよ。
なんで知らない人にここまでできる?
しかも、こんなガキの喧嘩で負けたような怪我人。誰だってほって置くだろう。
それなのに…。
なんで…。



