「…風邪…うつっちゃいますよ」


バクバクしてる心臓を抑えながら、やっとの思いでそう声に出す。


「…姫野さんからもらう風邪なら光栄だよ」


!!!!


黒川くんは、柔らかい笑顔でそう言うと、私の頭を優しく撫でてから、保健室を後にした。




もうこのまま死んでしまいそうになる。


心臓の音が大きく聞こえる。



風邪をもらうのが『光栄』って…一体どう言うことよ。



こんな長い時間、人と話すのもましてや男の子と、それも校内1の不良と話すなんて。



それも、黒川くんは他人との距離感を掴めていなさすぎだし…。



これが現代男子高校生の普通なの?



心臓がいくつあっても足りないって…。