「…こ、困るって…?」


「とにかく、早退」


「…え?」


私は黒川くんの言動全てに疑問を抱き、助けを求めるべく、土屋先生の顔を見る。




「青いねぇ〜。はい、黒川くんの言う通りすぐに病院に行った方がいいと思うから姫野さん、支度してね。ゆっくりでいいから」



土屋先生は口元を緩めたままそう言ってカーテンの外に出て行った。



黒川くんとまた2人になってしまい、俯く。


「…姫野さん、なんでそんないつも下ばっか見てんの?」


「……っ!」


黒川くんが私の肩に手を置いてから、顔を近づけてジッとこちらを見つめてきた。


「…あ、あの…」


私は目を揺らしながら、この状況をどうしたらいいのかわからなくなる。



全然関わったことないのに。
黒川くんはどうしてこんなにも親しいような話し方をするんだろう。



もっと無口で、冷酷で、無愛想な人だと思っていたのに。