「…ここ」
黒川くんが立ち止まった病室は個室の部屋で、ドアの横には『黒川 陽子』と書かれたプレートがあった。
…えっ?
黒川くんのお母さんって…病院で働いてるわけじゃなくて、入院してる方なの?!
「…ちょっと待って黒川くん」
私は思わず黒川くんの袖を掴まえる。
てっきり元気で、仕事バリバリやってる医者か医院長くらいと思っていたから…。
さっき、軽い気持ちでお母さんのことを聞いたことを申し訳なくなる。
「…大丈夫だから」
黒川くんは優しくそう言うと、袖を掴まえた私の手をとって握ってくれた。
「…入るね」
そう言って、黒川くんは病院のドアを開けた。
──────ガラッ



