愛葉くんと別れてから、家に向かう。


愛葉くんはああ言ってくれたけど。

でもやっぱり、今の黒川くんの感じを見ると疑ってしまう。


きっと、はたからみた私は、すごく嫉妬深くて重い女だって思われちゃうんだろう。
そうなんだけど。


一人ぼっちだった私の前に現れた黒川くん。


そんな彼を好きになるのに時間はかからなくて。


気づけばこんなに好きになっているけど。


黒川くんがいつまでも私の彼氏でいてくれて、いつまでも私のことが好きだなんて。


そんなのただの思い上がりだった。



いつも失敗の仕方は同じなのに。
いつまでたっても学ばない自分に嫌気がさす。



「……黒川くん」


それでも大好きで。


少し冷えた手で。

強く抱きしめて欲しいと。

優しく触れて欲しいと。

温もりを忘れられなくて。


「…く、黒川くんっ」




私はとうとう、我慢ができなくなり、立ち止まって涙を流してしまった。