「…すみません。クレープ1つとココアお願いします」
私は、クラスメイトにそう頼んでから、お兄ちゃんを席へと案内する。
「…ほら、あの男たちもずっと沙良のこと見てる」
お兄ちゃんはお客さんで来ている男の子たちをキッと睨みながらそういう。
「もう…見てないって。お兄ちゃんの思い込みだよ…」
「やっぱり、全日制の高校はやめたほうが良かったんじゃない?」
「……」
もう呆れて言葉が出てこない。
「…彼氏とか…いないだろうな」
っ?!
お兄ちゃんの女の感いや、男の感みたいなのはびっくりするくらい鋭くて、私は慌てて目をそらす。
こんな人に黒川くんのことがバレてしまったら、それこそ修羅場になってしまう。
「お待たせしました〜。いちごクレープとココアになります」
水田さんが、そう言って注文したものを持って来てくれた。
よし。
これで大丈夫だ。
「ほら、お兄ちゃんこれ食べて。多分人混みの中かき分けて来たから疲れてちょっとイライラしてるんだと思うよ」
「あぁ…いただきます」
お兄ちゃんはそう言って、パクっと一口クレープを口に運んだ。



