しばらく歩くと、聞きなれない鳥の鳴き声が聞こえてきた。
静かで、鳥の声と、私と隆介の足音だけが響く。
石ころが転がる道を歩く。
「お!あった。」
隆介の視線の先。
『洋食厨房』と書かれた看板が見えた。
隆介・・・
ご飯を食べに連れてきてくれたんだぁ。
ちょうどお腹も減ってきた頃だった。
近付くにつれて、いい香りが鼻をくすぐる。
♪カランコロン
「いらっしゃいませ!」
元気良く迎えてくれたのは、お店のご主人と、その奥さんらしき人だった。
初めてなのに、どこか懐かしさを感じるお店だった。
「ご予約の矢野さんですね?」
私と隆介は、外の景色の見える特等席に案内された。

