「坂出って誰?男?女?」
ピンクのビーズのストラップを持ちながら、私の顔の前で携帯を揺らす。
肉じゃがの匂いが、部屋中に広がっていた。
「男です・・・でも、何もないの。出るから・・・」
私が電話に出ようとすると、隆介が私の抱きしめた。
「このまま話そうぜ・・・」
私はソファの上で隆介に抱きしめられたまま、電話に出た。
確実に坂出さんの声は隆介に聞こえてしまう。
隆介の顔は、私のすぐ隣にあった。
「もしもし・・・」
『美亜ちゃん、どうしてさっき電話切ったの?』
坂出さん、声でかすぎ!!
テンション、高すぎ!!
隆介・・・
怒ってるよね?
誤解したかな。

