「圭祐、俺、やっぱここに残る。どうせ予行だけだしな。圭祐達は学校に行ってくれ」
 

悠聖が困ったように笑ってそう言った瞬間、咲雪は明らかにホッとした表情を浮かべた。



「……そうか、わかった。じゃあ、なるべく早く戻るから咲雪のこと頼むな」
 

そう言うと、力強く頷く悠聖。



「おお。先生には上手く言っといてくれよ」


「おっけ。じゃ、咲雪、あとでな‼」


「うん。またね……」
 

慌ただしく病室を出て行く俺たちに、咲雪は無理に作った笑顔で手を振ってくれる。



俺には、何故咲雪がこんな我儘を言うのかがさっぱりわからなかったが。



後から考えると、おそらく虫が知らせたんだろう。



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