たったこれだけのことなのにすごく体力が消耗して、移動が終わった時には肩で息をしていた。


「咲雪さん、大丈夫ですか?少し休憩しますか?」


堤先生は優しく聞いてくれたが、あたしは首を横に振った。

苦しいことは早く終わった方がいい。

  

「わかりました。それでは早速放射線の照射を始めましょう」


万歳しているように両手を上げさせられたあたしは、右手に小さなリモコンを渡された。



「咲雪さん、ちょっとボタンを押してください」


堤先生に言われるままにボタンを押す。

その瞬間、最大音量で警報ブザーが鳴り響き、あたしは驚いてスイッチボタンを押していた指を離した。



「はい。OKです」


別に驚きもせずにそう言いながら、堤先生はあたしの体に白い布をかけた。



「それでは、始めましょう」


堤先生はそう言って、放射線照射室から出て行った。

浜木さんもその後に続く。