歪んだ愛の結末は。

春君は仕事があるといって出ていき、佐伯さんが入れ違いに入ってきた。

「春が珍しく鼻歌歌ってましたよ。上手くできたんですね。」

上手くできたって、あの謝罪のこと...?
確かにすごく照れてたもんね。

「はい。春君と仲良くなれました。」
私はベッドに横になりながら応えた。

少しツンツンしてるけど優しいし、話しやすかった。
....ツンツン?
春君ってツンデレなのかな...?

「春君...?」

佐伯さんが眉間にシワを寄せながら首をかしげた。

「あ、はい。春君が敬語やめてって言ったんですけど、私、男の人呼び捨てにしたことないので、春君って呼んでるんです。」
でも、よくよく考えてみると春君って恥ずかしい気がする...。

「そうでしたか。春と仲良くなれてよかったですね。」

一瞬、佐伯さんが悲しそうな顔をした。

『私は知らない何かを此所の人たちは知っている』
そう思ったけど、これ以上佐伯さんを悩ませるのも酷だと思い、口にはできなかった。