私はマンションの中に入ってみたけど、人は誰もいなかった。

自分の部屋がある8階に行ってみるけど、誰もいない。


そっと、自分の部屋だったドアのノブを回して入ってみた。

中には、蓮がベッドに座ったまま、窓の方を見ている。

「ヒナか。明日には会社に戻るから、今日はほっといてくれ。」

私の方を見ることなく、言った。

蓮は無気力な顔で窓の外を見続けている。

私はゆっくり、蓮に近づいてみた。

でも、蓮は私に背を向けたまま。

「ほっとけっていってんだろ、ヒナ。」