俺は莉菜の目を見つめた。
さっきまでビクビクしていたのが嘘のように、その瞳は俺をまっすぐにとらえた。

「莉菜、俺は暫く会えねーけど、ずっと、愛してるから。」

俺は莉菜に背を向けた瞬間、莉菜が俺の服の裾を引っ張った。

「いっ.....ちゃ.....いや。」

かすれた声で莉菜は俺に言う。

俺はきつくきつく、莉菜を抱き締めた。
どうせ、俺達のことなんて忘れるんだ。
なら、最後くらい強く抱き締めてもいいよな?

「莉菜が辛いとき、助けに行くから。」

無責任な約束だったけど、俺は10年間、莉菜が助けを呼ぶのをずっと待ち続けた。