目の前には、昨日と変わらない莉菜がいた。
頭や腕、足に包帯は巻いてあるものの、顔色はよかった。

しかし、俺たちをみた瞬間、ガクガクと震え始めた。
俺は唖然とするしかなかった。

そして、その横を綾都が通りすぎていった。

「莉菜安心して。僕がいるよ。」

そう言って、背中をさする。
それでも莉菜は怯えたまま。

「..い......や.......」

それは小さな反抗だった。

「昨日からずっとこんな調子で、神埼さんの話をする度に震えだすんです。」
正臣が困ったように言った。

「ふむ....」

その様子を見ていた親父が口を開いた。