「おい、綾都、あの子のところへ行くのはもうやめろ。」

蓮が別邸に来るようになって3日めの事だった。

親父のこの言葉に俺は固まる。

「父さん、何を言ってるんですか...?」

「そのままの意味だ。お前ならわかるだろう。」

「莉菜を神埼家に引き取らせるんですか?」

莉菜と言う存在は親父のなかでは緒戦、ただのガキ。
それも、不倫相手という、めんどくさい肩書きつきの。

「あの子には、この時のために教養をつけたんだ。あっちが嫌だと言う前に、押し付けておかないと後々こっちが損をするからな。」

「父さん、ひとつお願いがあります。」

僕はまっすぐに親父のめを見つめる。

莉菜には僕が必要で、
僕には莉菜が必要なんだ。

だから、少しの犠牲は仕方ない。