「……残念だったね。総合優勝、できなくて」

「うん、悔しい」

「……そうだよね。悔しいよね」

「告白したかったんだよなー、ちゃんと。だから、悔しい」

わたしは何も言えなかった。そうだよね、ちゃんと言いたかったよね、なのに、ごめんね、あのときほっとしたりして……。

そのときだった。

突然、わたしの左手を颯太くんの右手がぎゅっと包みこんだ。

「!」

わたしは驚いて隣の颯太くんを見上げたけど、颯太くんはわたしを見ないで外を見下ろしたままだった。

「理緒、ありがとな。理緒の作ってくれたはちまきもTシャツも、法被も、全部、すごいよかった。力になったよ」

「………」

「それに、俺のはちまきの…あれ、なんていうの? キラキラしたやつ」

「……スパンコール」

「そうそれ。おれ、シルバーがいいってわがまま言ったもんな。大変だったのに、ほんとありがとな」

わたしはまた溢れ出そうな涙をこらえるのに必死で、何も答えることができなかった。

お願いだから、そんなに優しくしないで。

ちょっとした気遣いをちゃんとわかってくれる、そんなささいなことがいまのわたしをどれほど幸せな気持ちにさせるか、きっと颯太くんには想像もつかないだろう。

なにをしてもいつもひとり暗闇に取り残されてしまっているような気がしているわたしに、颯太くんだけが救いの手を差し出して、明るいところに引き戻してくれているような気がした。