すると 兄貴は壁に


寄りかかった


「ああ・・・知ってたよ


美玲の様子がいつもと


違うから もしかしてと思って」


そう言う兄貴の顔は


少し悲しそうに見えた


だったら・・・なんで


気付いていたなら どうして


「・・・なんで 助けに


行かないんだよ」


「前に・・・行ったんだよ


でも いつもお前が来て」


あれから 俺は美玲さんが


呼び出されて 助けに行っていた


来てたのかよ・・・


「だったら・・・ファンの女子に


美玲さんに近付くなって


言えよ」


仮にも 自分の彼女だろ


「・・・わかってるよ


だけど そんな事しても


責められるのは 美玲だろ」


彼女を守るのが・・・


美玲さんを守るのが


兄貴の役目だろ


「それでも・・・彼女だろ?


俺だって 美玲さんが


悲しむの見たくねーよ」


そう言って 俺は


裏庭を出て行った