「・・・詩織の事


悲しませないで」


それが 精一杯だった


今更なのは 私の方


今だって 少しだけ


苦しくなる・・・


「美玲・・・」


「私ね・・・あの時


何度も拓巳に助けてって


言ってたの


だけど・・・出来なかった」


心の中で 何度も言ってた


拓巳に話せなかったのは


傷付きたくなかったから


「・・・俺が ちゃんと


気付いてやれたら


美玲は悲しまずに済んだのに」


ドクン


「拓巳・・・」


そんな悲しい顔しないで


私は 目の前にある


水の入ったグラスを持った


悪いのは 私だから


「・・・ごめんなさい」


なんか 情けなく思えて来た


今にも泣きそうなのを


堪えていた