美玲は 傘を持って


その場を後にした


「・・・盗み聞きなんて


趣味悪りーな 兄貴」


近くの木から 兄貴が出て来た


「自分が何したのか


わかってんの?」


そう言いながら 兄貴を睨む


「・・・ああ わかってる


申し訳ないと思ってる」


その言葉に 俺の中の何かが切れた


気が付けば 兄貴の胸ぐらを


掴んでいた


「だったら・・・なんで


傷付けるんだよ!


美玲がどんな気持ちだったのか


わかってただろ!?」


「・・・じゃあ どうしろって


言うんだよ!


俺は・・・美玲を守りたかったんだよ


だから詩織に別れを言ったんだ」


は? 美玲を守りたかった?


そのために 彼女と別れたのか?


「ふざけんな! そのせいで・・・


兄貴のせいで 美玲がどれだけ


傷付いたと思ってんだ!」


自分でも 必死だったのかもしれない


こんな風に 兄貴に突っかかった事ない


「・・・美玲は祐介が好きなんだよ


俺は 振られたんだから」


そう言いながら 兄貴は


少し 悔しい顔をしていた