どうして・・・居るの?


詩織は?


「大丈夫か? ほら」


そう言いながら 拓巳は


手を差し伸べて来た


「・・・平気だから」


どうか 放っておいて欲しい


グイ


拓巳は 私の腕を引いて立たせた


「相変わらずだな・・・


美玲は そうやって見栄を張るから」


そんなんじゃない


「詩織は? 今日はデートじゃないの?」


「ああ・・・なんか急用が


あるとかって言って


帰ったけど」


ドキン ドキン・・・


「美玲?」


「あ・・・大丈夫だから」


一瞬 声が少しだけ


震えたような気がした


どうか 拓巳が気付いてませんように