「今日の範囲はややこしいからお前ら気合い入れて聞け。赤点とったら俺の休みが減るんだから承知しねーぞ。」

完全にクラスを支配しているこの教師は佐伯翔(さえきしょう)うちの学校の卒業生で学生の頃がやんちゃな奴らをまとめていたそうだ。


(…………うちの学校の教師恐ろしい。)

クラス中の生徒が心の中でそう思った。



「…だから、ここにこの公式を入れて解答が3番になるんだ。……よし、この問題を…さっき遅れてきた隼姫解け。」

有無を言わさぬ顔で言う。

「こんな難しい問題なのにいきなり応用やらせる気だよ。翔ちゃん先生本当鬼だね。」

大袈裟にひえーっというポーズをとりながらみらのが言った。

「いつものことだけどねー。」



無言でツカツカと歩いて行き、


サラサラと問題を解き、

何事もなかったかのように席に着く。

「いつものことながらお前はあいかわらず可愛げもなく解いちまうな。…ほら、お前らわからねーやつは後でこいつに聞いとけ。」

ーキーンコーンカーンコーン

チャイムと同時に授業が終わった。

そう、いつものことだ。

この渡真利隼姫、見た目に反して頭がいいらしい。