そんな好奇心に動かされてあたしはそろりそろりと、気が付かれないように階段を下りて行く。


サオお姉ちゃんの前に立っている人の顔は見えない。


だけどその声はここまで届いて来た。


どこかで聞いたことがあるようなその声に、あたしは耳をすませた。


「俺の我儘に付き合わせて悪かった」


そう言ったその声に、あたしの心臓がドキリと跳ねる。


確かに聞き覚えのあるその声に途端に疑問が浮かんできた。


なんで?


どうして?


そんな気持ちがあふれ出して頭の中が混乱してくる。


それでも2人の会話を聞きのがすまいと息を殺していた。


「ううん。サユも、これで少しは前向きになれたいいけれど……」


「そうだな。でも、ごめん。きっとサユちゃんの傷をえぐるような事になった」


そう言っているのは確かに友太さんの声だったのだ。


我儘ってなに?


あたしの傷をえぐるってなに?